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Fate




 設置会場の富士ケ浜で漂着物を収集し、それらに寺田寅彦の随筆「嵐」を書き写しました。寺田寅彦は物理学者として、または「天災は忘れた頃にやって来る」という言葉でも有名ですが、随筆や音楽、絵画など芸術方面でも素晴らしい作品を残しています。明治34年、高知で幼少時代を過ごした寺田寅彦は病気療養の為にこの富士が浜からほど近い大西旅館に滞在しました。随筆「嵐」はフィクションとも、ノンフクションとも言われている作品ですが、話の舞台は当時の大西旅館と富士が浜付近を描いています。

「嵐」には「熊さん」という不思議な人物が登場します。彼の生き方と浜の漂着物を通じて、有歴史と葬歴史の境界の刹那を描いています。今回の創作行為の実践も、この境界を行き来するものと考えています。会期中は環境の変化などで作品が変化するので頻繁に手入れを行います。これらの振る舞い、その痕跡も含めたものが作品となります。タイトルは「Fate」は寅彦の15歳の時の英文日記に出てくる言葉を引用しました。誰もが運命の中に身を置いている事の暗示ともとれます。


青空文庫より「嵐」全文のリンク


作品タイトル/ Title:Fate

制作年/ Year:2016

素材/ Medium:須崎市内の海岸で集めた人工漂着物(木材、コンクリート、トタン、レンガ、陶器等)エナメル塗料/ Mixed media

サイズ/ Dimensions:50cm×30cm×2cm 24ユニット


須崎アートアッセンブル

高知県須崎市/ Kochi, Japan




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